酒がないとオンラインになれない俺ら
少し前に「オンライン飲み会」なるものをした。説明するまでもないが,zoomやskypeなどで通話をしながらお酒を嗜むアレである。covid-19が猛威をふるい,自宅に籠ることを余儀なくされた人間たちの最後の楽しみである。
やってみての感想は,シンプルに「これもアリだな」である。居酒屋で飲むよりも安くつくし,自分の家という安心感もあるし,なにより終電を気にしなくてもいい。延々とダラダラくだらない話ができる(だからこそ切り上げるタイミングが難しいのだけど)。また近いうちにやりましょうね,と約束し,今回は切り上げた。
しかし,終わったあとにふと考えこんでしまった。お酒を飲む必要性はあるのかと。
お酒なしでも十分に楽しめることは想像できる。かつ,お酒があったほうがより楽しくなるということも想像できる。しかし「お酒を飲む」という約束なしに,友人たちをビデオチャットに誘うというイメージがまったくできなかった。ひょっとして我々はお酒を飲むという口実がなくては,オンラインになることができないのではないか。
ただし,これはビデオチャットに限った問題(というには大袈裟だけど)ではないのだと思う。大人になってから常々,不満に思っていたのだが,大人は「飲み会」という口実なしに,なんとなく集まり,なんとなく遊ぶということができない。
子どもの頃を思い出してみる。なんの口実もなしにただ単に「遊ぶ」約束ができていたではないか。お酒なんかなくても友だちの家や公園,ときには駐車場に集まり,その場で思いついたことをしてきたではないか。いつからだろう。それができなくなってしまったのは。
「お酒を飲む」というのはオンライン・オフラインを問わず集まる口実としては優秀である。だがいつの間にか大人たちはこの口実なしに集まることができなくなってしまった。たまには童心に戻り,お酒という口実なしに集まってみるのも面白いかもしれない。