ポップ体のポップじゃない話
ポップ体を憎むあまり、もはや自分の中でその言葉は悪口として通用するようになっている。
「ポップ体みたいな顔しやがって!」
と言えばもう完全なる、しかもかなり強烈な、悪口である。言われた方は、言った側にパンチをお見舞いしても構わない。あるいは道端で泣き崩れていても納得である。「そうか、そんな酷いこと言われたんだね。あまり気にしない方がいいよ」と励ましてあげよう。しかしポップ体みたいな顔とは何か。一言で言えば「道化」のそれである。小学生相手のお知らせプリントで使われるようなやつなんてどうせ間抜けな顔をしているに決まっている。おそらく語尾に「だじょ〜」が付いてくるに違いない。
「モリサワ的な雰囲気してるよね」
これは褒め言葉である。モリサワくんのグループはすごくスマートでイケてる集団だ。どこにいても絵になるので、最近では雑誌の仕事なんかもしているようだ。課金なしではたどり着けないスマートさを醸し出し、それを見ながらわれら游グループの人間はハンカチを噛む。
そして抑圧の委譲先としてMSゴシック・明朝に狙いを定め、彼らを攻撃する。
「MSのやつらってなんかカクカクしてるよね〜」
「なんかスマートじゃな〜い」
「軽いだけが取り柄(笑)」
しかし紙面にプリントアウトされた彼ら(=MS族)を見て、われわれは再びハンカチをキーッと噛むことになる。
「美しい...!」
ま、要は適材適所ってことですな(ポップ体を除く)。